「…早かったな。」
ネリーが声をかけた。部屋にバレスとロザリアの姿はなかった。まだ薬草と格闘中なのだろう。

「えぇ。拉致って来ちゃった」
ルカはじたばたするキトを拘束の魔法で椅子に括り付けながら言った。

「拉致って…犯罪だぞ、それは。」
ネリーが呆れていった。

「だって説得出来るような奴じゃないし!」
ルカがきっぱり言った。

「おいっ!なんなんだよ、一体!説明しやがれっ!治癒者は俺以外にもたくさんいるだろうがっ!」
キトが椅子ごとガタガタ揺すって喚いた。

「ん?確かに治癒者は一杯いるけどね、該当者はキトだけなんだよ。」
ルカが言う。

「だから何の!」

「…お姫様の治療。」

< 108 >

[1]次へ
[2]戻る

[0]目次

Tag!小説


トホーム