「キトがねぇ…」
ルカはにやりと唇の端を上げた。
ルカが治癒者達に出したアンケートは、召集希望日を聞く、と言うものだった。
が、それは表向き。本当は治癒力の強さを計るためのモノだった。
「男で治癒者なわけだし、親は吸血鬼だしねぇ」
ルカはくっくと笑った。
ルカは紙にあらかじめ魔法をかけて治癒者達に出した。紙に触れて青くなれば、強大な力の持ち主と言うこと。
ルカは国中総ての治癒者に出したのに、該当したのはキトだけだった。
(ふふふ…でもちょうどいいわ…いつかの仕返しができる…)
「これは、面白くなるわよ…ネリー。」
ルカが不気味な笑顔で言った。
「…あんたには面白いか、面白くないかの、どちらかしかないのか…?」
ネリーはため息混じりに言った。
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