「…そう言えば、ルカさん。召集状出したんですって?父様から聞きましたわ。」
ロザリアがカップを傾けながら聞いた。
「はい。王様名義で国中の治癒者に。一人ずつ捜すのでは時間がかかってしまいますので。」
と、笑顔で答えた一方で
(本当は単に、面倒臭くなったからだけど…私が。)と、心の中では本音を言った。ネリーがあきれ顔でルカを見ていた。
「でも…」
ロザリアが何かを言い掛けた時、叫び声が響いた。見れば窓の向こう、何か巨大なものがウネウネしている。
「何だ!?あれ!」
バレスが窓辺に近寄る。
「あ、人間界の土じゃ合わないのか」
ルカは座ったままポツリと言った。バレスは勢い良く振り向いた。
「あれ、お前らが植えてたヤツ!?何で動いてんだよ!?植物じゃなかったのか!?」
「植物に決ってるでしょう。植物だって生きてるんですから、動いて当り前です。」
ルカはしれっと紅茶を啜る。
「いや!あれは当り前じゃないだろ!」
バレスは窓の外を指差しながら喚いた。
瀕死状態のミミズよろしく、薬草はのた打ち回っていた…。
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