…その後、三人の同意も貰えたため、ネリーが最後の一書きを加えて陣は完成した。
部屋の中央に現れた王妃の姿に皆、息を呑んだ。王妃が柔らかに微笑んで話し始める。声は彼方から聞こえてくるようなふわふわとした心地よいものだった。


(これで…また前に進めるようになったのかな)
ルカは壁に寄り掛かり、王妃と家族とが言葉を交わす様子を眺めていた。

(あの吸血鬼野郎が邪魔した所為で、大幅に寄り道することになっちゃったからね…っ)
ゴーっと黒い怨念が感じられる…。

(また、治癒者探しか。)
ルカは目を閉じて考えに耽る。
(王にも協力してもらおう…お触れでも出して、国中の治癒者、集めるか…)

フゥ、と天を見上げて一息ついた。

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