振動の波が空気にも伝わってくる。電気ショックを受けた人のようにロザリアの体が跳ねる。ロザリア自身もビクっとなって目を開けた。

「…お目覚めですね、ロザリア様。」
ルカはベッドから降りた。そして空気中から紙を作り出し、ロザリアに読むよう促す。イザベルとバレスにも同様の物を渡した。紙にはこれから行なおうとしていることが書いてある。

(なんかもう口で説明するの面倒臭い…。)
三人は食い入るように読んでいる。疑問に対する答えが勝手に出るようにも魔法をかけておいたので、バレスが騒ぐ事もないだろう。

ルカは窓の外に目をやる。悪魔がうるさい。ネリーが発する魔力に興奮して、窓にぶつかる音だけでなく、キーヒッヒッと甲高い笑い声まで響いてくる。
ルカは顔をしかめた。

(あの吸血鬼を思い出す笑い方ね…っ)
ルカは人知れずイラッとし、鋭い視線を悪魔に向けた。

「…ルカ・イヴェール。」
ネリーが咎めるような声を出した。

…窓の外では何かにノックアウトさせられたかのように、気絶した悪魔が空中に漂っていた。

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