ネリーは出発の準備にと部屋一面の魔法陣を消しはじめた。王妃の姿はルカにはもう見えなくなった。

「こんなに複雑なの、書くの大変なんだから残しておけば?」
ルカが言う。

「…同時に同じモノが存在すると変なのが出てくる。」
ネリーが静かに告げた。

「ふーん」
(出てきたほうが面白そうだけど。)と思ったが言わないでおく。ルカは陣の周りをたどって歩き始めた。

(私は詳しくないけど、コレってネリーが独自に編みだしたものじゃ…見たことない記号ばかりだし…。)
ルカはちらっとネリーを盗み見た。

(いったい、どれほどの力を持っているのやら…。)

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