Chapter.18 想い

床一面に描かれた魔法陣。そのちょうど真ん中に銀色に透けた人が浮いていた。ネリーはその人に向かって歩きながらルカに言った。

「…あなたならこれが誰だか分かるだろう?」

「……王妃…。」
ルカは低い呟くような声で言った。

「…そう。だからあなたを呼んだ。」
ネリーは王妃に触れた。触れた所は一瞬だけ鮮やかに色づいた。
「…娘に会いたがっている。本来ならすぐにでも会わせてしまうのだが王宮にはあなたがいた。あなたが魔法をかけているせいで私は入れない。…私は学校を卒業した正式な魔法使いではないからな。」
ネリーは淡々と話していたが最後の言葉には自嘲ともとれる響きがあった。

「あなたを連れてくるので精一杯だった。…もっとも半分以上はあなた自身の力で来たのだろうけど。」
ネリーはルカを見つめた。ルカは何も言わなかった。

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