この決断をするのにいったいどれほどの決意が必要だっただろうか。きっと多くの人の反対と非難を受けたことだろう。それでも押し通したこの想い、それを思うとルカは何も言えなくなってしまった。
「………。」
黙り込んでしまったルカを見てネリーはフイッと顔を背けると再び歩きだした。
ハッとなってルカも急いで追いかけた。二人の足音だけが廊下に響く。螺旋階段を上り、幾つめかの角を曲がった時一つの扉に突き当たった。ネリーはそこでやっと足を止めた。追い付いたルカに振り返る。
「…今日あなたを呼んだのはあなたに見てほしいものがあったから。」
そう言うとネリーは両手で扉を押し開いた。
ルカは入口から中を見た。
部屋の中は窓もなく薄暗かった。
けれどそこには確かに輝くものが
……いた。
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