「…冷静なわけないでしょう!内心メチャクチャ焦ってるよ!こんな場所に閉じ込められてっ、脱出方法もなくっ、魔法も使えなくてっ!」
ルカは何かが爆発したように一気にまくしたてる。
「あんたにわかる?魔法が使えない魔法使いの気持ちが!」
(私が取り乱したって仕方ないのに…止まらない…っ)
「どんなに不安で、どんなに怖いか?あんたにわかる!?」
ルカは今にも泣きそうだった。それを堪えようと奥歯を噛み締めたが、一度緩んだ涙腺は簡単には直らない。
「……っ!」
「なっ泣くなよ!俺が悪かったからっ」
そんなルカを見てバレスは慌てふためいた。だけどもう、感情のコントロールが効かない。
(こんなのっおもちゃを取り上げられて泣く子供と一緒じゃない…っ)
頭の隅でそう思いながらもルカは泣いた。大声で、泣いた。
そして、
脱出した。
< 65 >
[1]次へ
[2]戻る
[0]目次
Tag!小説
トホーム