「…冷静なわけないでしょう!内心メチャクチャ焦ってるよ!こんな場所に閉じ込められてっ、脱出方法もなくっ、魔法も使えなくてっ!」
ルカは何かが爆発したように一気にまくしたてる。

「あんたにわかる?魔法が使えない魔法使いの気持ちが!」

(私が取り乱したって仕方ないのに…止まらない…っ)

「どんなに不安で、どんなに怖いか?あんたにわかる!?」
ルカは今にも泣きそうだった。それを堪えようと奥歯を噛み締めたが、一度緩んだ涙腺は簡単には直らない。

「……っ!」

「なっ泣くなよ!俺が悪かったからっ」
そんなルカを見てバレスは慌てふためいた。だけどもう、感情のコントロールが効かない。

(こんなのっおもちゃを取り上げられて泣く子供と一緒じゃない…っ)
頭の隅でそう思いながらもルカは泣いた。大声で、泣いた。

そして、



脱出した。

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