Chapter.14 脱出せよ!!
(やっぱり取り残されたか…。)
ルカはため息をついた。そして、俯いていて扉が消えた事に気付いていないバレスに言う。
「残念ですが、姫でなく私とさ迷うことになりそうですよ、バレス殿。」
「はぁ?何言って…」
バレスは顔をあげた。その目は驚愕に見開かれた。
「姫は…どこに行った…?」
「おそらく、ロザリア様は無事戻れたのでしょう。」
ルカは冷静に分析する。
「私達は本来、来るはずではなかったのですから、ついでで来た人の帰り道までは用意されてないのでしょう。魔法はそこまで親切じゃないですから。」
「…こんな時まで落ち着いてんなよ!」
バレスが怒鳴る。
「おまえはいつもそうだよな!何にも動じなくて!さすが優秀な魔法使い様だよっ!」
ルカは眉をひそめる。
「…本気で言ってるんですか?」
問い掛けた声はいつもより1オクターブ低かった。
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