ルカは振り返った。
「大丈夫ですか、ロザリア様」
「…私は平気です…」

どこか元気がない。これと言って外傷はないようだから精神的なものだろうか?
ルカは魔法を使ってロザリアの心を覗いた。

自分を責める声。小さな女の子。棺…

ルカはすばやく魔法を解いた。これ以上は見てはいけない。ロザリアの感情に取り込まれてしまう。それぐらい重く、つらい…

ルカは明るく振る舞って言う。
「まだ早い時間ですからもう少し寝てはどうですか?」
ロザリアは少し間を置いてから「そうします」と言った。横になってゆっくり考えたいと思ったのだろう。

ルカはロザリアがベットに入るのを見届けると部屋を出た。そして閉めたドアの前に立つと魔法をかける。

(バレスと王様に相談を…)

ルカは魔法がかかったのを確認すると部屋を後にした。部屋の中では姫様が何にも邪魔されることなく、ルカが魔法を解くまで夢を見ずに眠っているだろう。

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