姫様は王妃様とハイキングに出かけた先で落石に遭われ、頭に大怪我をされた。医者と治癒者が治療にあたったが治せず、ついに魔法使いに頼ることになった。城にやってきた魔法使いは長い顎髭をもつ老人だった。魔法使いは姫様を見ると言った。
"犠牲が必要だ"と。
この姫は若い。術をかけるワシのほうがはるかに早く死ぬ。ワシの死後も魔法を継続させるためには犠牲がいる。守りの魔法をかけるのに必要なのだ…と。

王妃様がすぐさま名乗りをあげた。
私が代わってやりたいと昨日からずっと思っていた、娘が助かるのならこんな命いくらでも差し出すと言った。
王様と住人達がこぞって止めたが聞かなかった。
そして…
姫様が目覚める頃、王妃様は永遠の眠りについていた…。
目覚めたとき、王宮中が涙にくれていたわけを姫様は知らない。
だから俺に聞いたのだ。
母様はどこ?と。
病棟を退院してすぐ、薄暗く寒い中、俺を捜してまでして…。

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