Chapter.7 過去
誰か泣いている。
真っ白なバラの花がたくさん飾られた棺の前で小さな女の子が泣いている。
「あなたはだあれ?
泣かないで…」
女の子の肩に手をおく。けれど慰めようとした私の手は振り払われた。女の子が振り向いて言う。
『人殺し…っ!あんたなんか大っ嫌いよ!』
悲痛な叫び声で私を責める、私と同じ顔をした女の子。
あなたは誰?
あなたは…私?
『あんたなんか嫌い!私も嫌いよ!母様の命を奪ってまで生きている自分が嫌いよ…』
棺の中。たくさんのバラに囲まれて眠る人。私とよく似た顔をした人。
「か…あ…さま……」
私が私を責める声が響く。
『私の所為で母様は死んだのよ!私のために犠牲になったの!それなのにあんたはその犠牲を無駄にするつもり!?母様が命と引き替えにした魔法を解こうだなんて!ゆるさないからっ!』
目が覚めた。
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