「ワシは命じたはずじゃぞ、闇討ちはするなと。」
『しかし、王様つ。この者は雇われている身でありながら不忠実で…っ』
「ワシは戦争をしろと命じた事は一度もないぞ。むしろ争いごとは起こすなと言ってあったはずじゃが?それにワシの命に背いたそなた達にルカ殿を責める資格があるとは思えんがのう?」『………。』
兵士達は黙り込んだ。
「ワシは自分のことより国を、民を大事にしたいのじゃ。そなた達にもその心伝わっていることと思ったがどうやら間違いじゃったようじゃのう。」
『王様っどうか…どうかお許し下さいっ』
「今回のことだけなら大目に見たが…そなた達、町の者達に理不尽な請求をしているそうじゃのう。」
兵士達は息を呑んだ。
「そなた達の行い、ワシの耳にしかと届いておる。」『………っ!』
「あとは然るべき所で話し合おうかの。……ルカ殿。」それまで王の後ろにいたルカは王の呼び掛けで兵士達に移動の魔法をかけた。
「色々と済まなかったの。」王が言う。
「いえ。これくらい何でもありません」ルカが返す。
「そう言ってくれると助かるのう。では、夜分遅くまで失礼した。よい夢を。」そう言うと王は部屋を出て言った。

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