命令を拒否された事などないのだろう。ロザリアは薬品庫を出てから一言も口を聞かない。キツイ顔付きでルカの三歩後ろを歩いている。ルカは大広間のドアを開けた。
「………。」
騒がしかった大広間がシンとなった。冷たい視線が突き刺さる。ルカは構わず王様の前に進み出る。そして
「失礼いたしますっ。」
と言う声と一緒に薬を王様にぶっかけた。
シュルルルル。丸かった王は見る見る縮んでいき、元の王に戻った。そして王は兵士達に命じた。
「ワシはこの通り元に戻った!別状はない。じゃから戦争などと物騒な事を申すでない!ルカ殿への闇討ちもワシが禁ずる。彼女のおかげで戻れたのじゃから。良いなっ!」


だが、その日の夜。
数十人の兵士が夜襲を掛けた。けれど兵士達はルカの部屋に押し入った途端、身動きが取れなくなった。何とかしようともがく兵士達の耳に聞えたのは予想外の声。
「そなた達…ワシへの忠誠は嘘だったのか?」
『お…王様!』
王は腰掛けていたルカのベットから立ち上がる。

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