ルカは一つ、ため息をついた。そして背もたれに寄り掛かると目を閉じた。
(今日は少し疲れた…。朝からずっと仕事だったし、あちこち行ったりしたから…。)
ルカは眠りにつこうとした。薬が冷めるまでの短い間。けれどそれは出来なかった。訪問者があったから。
「……ロザリア様…。」
戸口にロザリアが立っていた。憤怒の形相でルカを睨んでいる。
「先程の言葉、撤回いたしなさい。あなたは今、この王宮の一員です。あなたも王のために協力すべきです!」ロザリアがまくしたてる。「お言葉を返すようですがロザリア様。」ルカは告げる。
「あなた様の命でも撤回することはできません。私は王様に忠誠を誓ったわけではありません。たまたまこの近くを通りかかったから雇って戴いただけのこと。何の思い入れもございません。そんな国のために力を貸す気はありません。」
ルカは椅子から立ち上がった。薬作りに戻りながらルカは言う。
「ご安心ください。私は隣国の協力もいたしませんから。」
シューシューいう音と共に煙が上がる。薬は黄色い液体になった。
「さぁ、完成いたしました。収縮薬です。」
< 30 >
[1]次へ
[2]戻る
[0]目次
Tag!小説
トホーム