ルカは薬品庫に行った。必要な薬品を探す。
ルカは魔法学校時代、魔法薬学だけでなく人間用の薬学も習っていた。だが、人間の役に立ちたいとかいう気持ちはさらさらなく、ただ単に他にとれる授業が無かったからだ。(ちなみにこの授業は非常に人気がない。ルカのように呪文学や魔法陣学をとる必要の無い者が自由時間を持ちすぎないようにと学校側が用意した科目だからだ。)
「まさか、この知識を使う日がくるとは。」
ルカは探しだした薬品を並べながら呟いた。そして、薬作りに取り掛かる。魔力が入りこまないよう注意しながら混ぜていく。
(あぁ面倒臭いっ!魔法なら一発なのに。ほとんど手作業と変わらないのよねっ。人間って煩わしい事ばかりねっ。私、魔法使いに生まれて良かった!)
そんなことを考えながら薬を魔法の火にかける。右に三回、左に二回掻き混ぜていくうちに薬は透明になった。火からおろす。あとは冷ましてからいくつか薬品を加えれば完成だ。
ルカは空気中から椅子を作り出し、それに腰掛けた。
(それにしても…。王様は随分とまた、七面倒臭い事を。私が治せなかったらどうするつもりだったのやら。)
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