…とは言っても、魔法をかけて直すわけにはいきません。それではロザリアの二の舞になってしまうから。ルカはまず原因を調べることに決めた。王様に近づく。
「どうしてこのような姿に?」ルカが問う。
王様はともすると弾んでしまいそうな体に苦戦しながら話す。いつもより数倍低く、籠もったような声なので聞きづらい。
「それがワシにもようわからんのじゃ。ただ隣国の王からもらった果物を食べたら急に腹が膨らみだしてのう…。」
(果物……。)
ルカが考え込んでいると周りの兵士達から声が上がる。『戦争だ!隣の国の奴等が王様をこうしたんだ!奴らめ…許せん!』
『そうだそうだ!戦争だ!やるしかない!』
『今なら勝てるぞ!我らには魔法使い様がついていらっしゃるのだ!』
考えに没頭していたルカだったが、この言葉に意識を戻す。
「私は皆様の手助けはいたしませんよ。」
ルカは兵士達の方に振り向くと告げる。
「魔法使いが頼めば何でも聞いてくれるようなお人好しに見えますか?魔法使いは究極の自己中心主義者ですよ。自分に関係の無い事にわざわざ魔法を使ったりするもんですか。」
フンッと鼻から息を吐く。そして続ける。

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