バァァァァァァン……。
轟音と共に窓が爆発した。木やガラスの破片が降り注ぐ。
「なっ…なんだ一体!?」
男は窓の方を見た。そして叫び声をあげた。
「うわぁぁぁぁぁ…!」
外はまだ昼間。爆破された窓から日の光が差し込んできていた。男は身悶え、床に倒れた。
ルカは拘束の魔法を解いた。服についた破片や埃を払いながら立ち上がる。吸血鬼の唸り声が部屋に響いていた。
「…父様っ!」
キトが部屋に駆け込んできた。なんとか窓を塞ごうとするがうまくいかない。ルカはそんな様子を見ながら言った。
「この部屋から連れ出したほうが速いと思うけど。」 キトが叫んだ。
「人殺し!よくも父様を!」ルカは平然と受け流す。
「それは人の事言えないでしょ。"父様"は私の事食べようとしたからね。大体、死んじゃいないよ。」
ルカは淡々と続ける。
「ほら、早く運びなよ。私はその人に触れないんだから。」
キトはルカの言葉に従う。
「これこそがあなたの本領発揮の場面じゃないの?治癒者さん。」
キトがドアの辺りまで運び終えた頃、ルカが呼び掛けた。

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