(これもトラブルの一つかしら…。)
ルカは男をじっと見つめた。(この男…吸血鬼か…。あぁ…ハーフって…そういうことか。)
男が近づいてきた。
(このソファは対魔法まで封じるのか…まぁそのほうがやりがいがあるけど)
男が喋る。
「まさか生きているうちに魔法使いの血が飲めるとは思わなかったよ。ヒヒヒ。それにイヴェール家と言うではないか。ヒヒ。あと300年は生きられそうだよ。ヒヒヒヒ。馬鹿な魔法使いめ。今では人間でさえここに近寄らないというのに。ヒヒヒヒヒ。」
男は引きつり笑いをした。ルカは目線を部屋の窓に向けた。戸が閉まっている。
(あの外観も魔法か。吸血鬼が綺麗な所に住んでるはずないもの。違和感の正体は魔法だったのか。)
男の息が顔に当たる。血なまぐさい。ルカは目の端で男をちらっと見た。二本の牙がのぞく。
そしてついに男は口を開けた。ルカの喉元へと襲い掛かる瞬間、ルカはただ窓を見つめていた。

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