Chapter.5 呪いの館
屋敷に入った瞬間、ルカは違和感を感じた。けれどキトに続いて廊下を進んでいるうちにルカはそれが気にならなくなってしまった。
「ねぇ、滅多に人が来ないってどういうこと?怪我人が来なくちゃ仕事にならないじゃない。」ルカが聞く。 「向こうからは来ないだけだよ。僕が迎えに行くんだ。……あっ!そーいえば名前聞いてないね!なんて言うのぉ?」
「あぁ、そうだったね。ルカ・イヴェール。今はこの国の王宮で働いてる魔法使いだよ。」
それを聞いてキトはびっくりしたように言う。
「イヴェール!?イヴェールって魔法界の旧家でしょ!?…すごいね。」ドアを開ける。
「お茶入れてくるから座って待ってて。」
キトはそう言うとルカが何か言う間もなく駆け出していってしまった。ルカはため息を一つ吐いてソファに腰掛けた。その瞬間、身動きがとれなくなった。ソファには拘束の魔法がかけられていた。
(そうか…癒しの力だ…)
ルカは体の自由を奪われながらも思った。
(治癒者には警戒心を解いて和ませる力があったっけ…。忘れてた…。)
ドアが開く。そこにはマントを纏った青白い顔の男がルカがご馳走であるかのように舌なめずりして立っていた。
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