Chapter.4 治癒者

パーティーの翌日から、ルカは王宮付魔法使いとして働きはじめた。とは言っても所詮まじない師の代わり。仕事は防衛の魔法をかけるとかちょっと未来を占うとかすればいいだけの簡単なものばかりだった。だからルカは仕事の合間には治癒者を探しに行くことにしていた。王宮付魔法使いの仕事よりお姫様の予知夢解決のほうがドキドキのしがいがあると思ったから。

「すみませーん…どなたかいらっしゃいませんか?」その日三度目の移動の魔法を使ってやってきたのは、王宮からずっと離れた国境に立つ一軒のお屋敷。古いが隅々まで手入れの行き届いた感じの洋館だ。
「はいっっ!今行きまーすっ!」
どたばたと足音を響かせながら声の主が現れた。
ルカは驚いた。
(えっと……男…だよね…?なんかすごい美人だけど…。)
ルカが固まっていると、その人が言う。顔に似合わぬ可愛い口調だ。
「えっとぉ、怪我の治療ですかぁ?」
「あっ…!あの治癒者の方はいらっしゃいますか?」 ルカは我に返ると尋ねる。するとその人はちょっと首を傾げてほほ笑みながら言った。
「僕が治癒者です。治癒者のキト・ラビンです。」

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