「えぇ。私は何度か自分が死ぬ夢を見ましたが、どれもバレスに土壇場で救われて回避しています。自分の事だけ結末が変わるのも不思議ですが、何よりも予知夢にはバレスが出てこないことが不思議ですね…。」
ロザリアは少し考え込むように言った。
「………。」
(待ち受けている運命が変わる…?まさか。魔法使いですら定められた運命から逃れることは出来ない。…じゃあ予知夢が間違ってる…?それにバレス…。)
ルカはしばらく黙って考えていた。
コンコンッ。ノックの音。「はい。」
ロザリアが応じた。
「今、良いかな?」
声と共にドアが開く。入ってきたのは恰幅のいい男。「おっ王様!」
バレスが声を上げる。ルカは目を向けた。
「君が魔法使いかね?」
王はルカに話し掛けた。ルカは椅子から立ち上がり軽く頭を下げながら応じる。
「はい。ルカ・イヴェールと申します。挨拶もなく入り込んでしまい申し訳ございません。ぜひともこの王宮で雇っていただきたく…」
「おぉ。良いとも、良いとも!つい最近、まじない師が辞めてしまってのう。困っていたのじゃ。むしろこちらからお願いしたいくらいじゃ!」

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