「おやめなさい!女の方に斬り掛かるとは何事です?」
若い女性が叫んだ。
「しかし、姫っ」
男が抗議の声を上げる。姫と呼ばれた女性は男を毅然とした態度で睨み付け黙らせるとルカに近づいた。
(この人は……。)
ルカは姫が触れようと伸ばした手をフイッと避けた。それを誤魔化すかのように一気に喋る。
「勝手に部屋へ入った非礼はお詫びいたします。魔法が失敗したようで入り込んでしまいました。申し訳ございません。」
ルカは頭を下げた。
「魔法…と言うことはあなたは魔法使いで…?」
「はい。」念のため目を合わせないよう頭を下げたままで言った。
「そう…。あなたが来ることは分かっていました。夢で見ましたので…。」
「夢…?」
「えぇ…。私は少し先の出来事を夢に見ることがあるのです。」

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