また夕景色に意識を戻して、淋しさを感じる。
この淋しさは彼と別れるからじゃない。住み慣れた居心地の良い場所を離れなくてはならない。
そんな思いから来る淋しさだ。
彼への思いからじゃ、ない。


私の言葉を境に彼が何も言わなくなったから、ひとつ小さなため息をついて、部屋に戻ろうとした。




「俺は、いい加減で適当で相当なひねくれ者だと思う」




突然彼から出た言葉に、私はとても驚いて振り返り、彼の背中を見つめた。
こいつが自分を語るなんて今までなかった。
っていうか、自分のことちゃんと分かってたんだね…ちょっと意外





「お前を怒らせてばかりで、泣かせてばかりだったけど」




夕日を見つめたまま言葉を紡ぐ彼を見る。どんな顔、してるんだろう。




「俺は、お前と過ごす時間は嫌いじゃない。こんな適当な俺を飽きもせず叱りつけてくれんのは、お前くらいだからな」





がしがしと頭を掻く。これは、ちょっと恥ずかしいときにする彼の癖。

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