急ぎながら、どんな物を買おうかと考えていると、駄菓子屋より10mほど手前に、マンホールの蓋が空いているのを見付けた。
それで、好奇心から覗いてみると、ポケットにねじ込んだ一万円札が、ペダルを漕いでいるうちにズレていたらしく、マンホールの中にヒラヒラと落ちていってしまった。
俺が慌てて下に下りようとすると、中から人の声が聞こえてきた。
好奇心が頭をもたげてきた俺は、ダッシュで家に戻り、香織を引っ張り、金を落とした事など頭っから忘れ、マンホールの暗い穴の中へ、まだ声の聞こえる方へと進んで行った。
俺は香織を連れて、家へ帰った時に持って来たディバッグを探り、中のペンライトを使って、どんどん歩いて行った。
しかし、途中で声が聞こえなくなると、当てもなく探すしかなくなった…。
ヤミクモに探しても、やはり誰も見付からなかった。
すると、大分この状況に馴れてきた香織が、
「多分アンタの気のせいだったのよ。もう帰ろう?」
と、俺に声をかけた矢先、手前の角で、人が動く気配がした。

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