「有希ちゃん、ごめんね遅くなって。」
カズくんだった。近く孤児院から高校に通っているさわやかな男の子だった。絵が好きで土田と絵について話しているときなんてまるで本当の兄弟のようだった。
「にぃちゃんから有希ちゃんに、コレ」
彼が渡した白い封筒には土田の字で「有希」とだけ書かれていた。
「ほんとは一緒にいたいけどこれを読むときはひとりにしてやれとにぃちゃんが言ってたから。」
目に涙をいっぱいためてカズくんは走り去った。

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