私の周りには数多くの『?』が飛び交った。

「何を始めるの?さっきから意味がよく分からないんですけど…」

木崎はこっちを見て穏やかに笑った。
そしてピアノに向き合う。
(笑顔で無視ですか…)
私は内心むっとした。

〜…♪
(え…)
いきなり響き渡った音色。木崎が作り出す音楽の世界。
(ってこの曲…)
「何呆けてんだよ?意味、分かるだろ。弾いてよ?」
木崎は私を見つめながらそのまま告げる。
鍵盤を見なくても…やっぱ弾けるんだね。
私は笑みをこぼした。

そして弓を上げる。

去年弾いたリデスを弾くために。

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