そんな中、司会が告げた。
「最後を飾るのは西高校の木崎夏希君です。曲は今回初めて自作のものを用意しました。曲名、『W.T.F』…」

ゆっくりと明るいメロディから始まる。
心地よい風が辺りを覆うように木崎の奏でる音は観客全てを魅了する。
途中からテンポが速くなり軽快な緩急のある音色に切り替わる。

「すごい…」
私は思わず呟いていた。
(これが…木崎の実力なの?)
木崎の行きたい有名な音大であるK大の学生より巧いんじゃないかと思う。
今、初めて耳にする曲。ずっと聴きたかった曲。
私は自然と視界がぼやけていた。

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