前の大勢の観客を目の当たりにしてやはり緊張は増した。
(いつになっても私は絶対この雰囲気に慣れないわ…)
そんな事を考える中、神経を集中して最初の音を出す。

〜…♪
誰よりも美しく演奏するために、いかに余計な事は考えず目の前の音楽に没頭するか。
それは前に木崎が教えてくれた事だっけ。

…ー♪
私は最後に弦を上げる。
去年よりうまく弾けたはずだ。
会場にはたくさんの拍手が舞い上がった。



小さな子たちのピアノアンサンブルが終わり、いよいよ最後を締めくくる木崎が颯爽と現れた。

私は固唾を飲んで見守る。

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