「よっ、久しぶり」

軽く手を挙げて私の元へと木崎がやって来た。
「久しぶり…」
私は静かに視線を上げる。
今までと全く変わらない笑顔がそこにあった。むしろ今日はかなりご機嫌のようだ。
「あー今年もトリだし頑張んなきゃなー」
木崎はそう言って嬉しそうに微笑んだ。




「…次は東高校3年生、伊崎さくらさんの『戦場のピアニスト』です」
先生がピアノ用のこの曲を私の要望に答えてバイオリン用に書き上げてくれた私にとって大切な曲。

私は震える指先をきゅっと結びながら、舞台の中央へと向かう。

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