「これ。出来たらすぐにおまえに見せたかったんだ」
中から大事そうに取り出した、楽譜。
おそらく今年の発表会のために木崎が書いた曲だろう。
私はそっと開き、曲名に目を向けた。
『W.T.F』
(…?)
「何なの?『W.T.F』って?」
その問いに木崎はくすっと一回笑っただけだった。
「さぁ何でしょう?」
私はその言葉にむっときた。必死に考える。
「あれじゃない?えっとほら、『世界貿易機構』?」
「…バカかおまえ。それ『W.T.O』だろ」
木崎が真剣に「おまえ受験大丈夫かよ…」と呟いているのが聞こえた。
< 94 >
[1]次へ
[2]戻る
[0]目次
Tag!小説
トホーム