木崎が伏せた目は切な気で。本当に桜子さんが大切だったのは明らかだった。

(過去形じゃないか…最近別れたんだし)


「でも俺、あんな子犬みたいな可愛らしい雰囲気の女よりおまえみたいな強気な黒猫みたいな奴のが、気ぃ使わなくてラクだわ」
木崎がそう呟いて俯いていた顔を上げ笑った。
(てか、黒猫ってどうよ…?)
私が微妙な顔をしていたのに気付いたのか木崎は慌てて付け加えた。
「だっておまえ自由の象徴みたいな感じすんじゃん?言いたい事すぐ言うし。それに知ってた?黒猫って外国では妖精って意味あるんだぜ」

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