木崎は…とっくの昔に私が忘れてると思ってるかもしれないけど、私は覚えてるよ。
木崎の誕生日。
「彼女と過ごさなくていいの?」
先に沈黙を破ったのは私の一言だった。
木崎が、一瞬だけど皿を拭いていた手を止めたのが見えた。
それから頭を掻く。
「つーかさ、ふられんだ、俺」
予想外の言葉に私は驚いた。
「なんか、あいつ、自分以外の女と仲良くする奴、信用できねぇってさ」
「何それ…」
少なくとも。私はそんな風には思わない。誰だって自由に生活したいじゃない。
…なんて木崎には言えないし、私は黙っていた。
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