（…やっぱり）
予想はしてた。この女の子に『桜子』と名前を呼んでいた時点で…そんな気がした。
でも。彼女にまで名前では呼ばせないんだなぁと同時に思った。
『夏希』
…いい名前なのに。
木崎に指摘される前までは私、彼の事『なっちゃん』って呼んでたっけ。
そんな自分を懐かしく思う。あの頃は、彼に特別な人がいるとは思っていなかった…幸せそうな自分。
「おい、聞いてる？」木崎が私の顔を覗き込む。
「…あーうんっ」
木崎の声で私はようやく我に返った。
その時彼女がゆっくり口を開いた。
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