「どうしたの?」私は思わず不思議に思って尋ねた。
「…あのさ。俺、こんな事誰にも言えねぇから誰かに聞いてほしかったんだ。世の中にはさ、こんな受験生もいてちゃんと頑張ってんだってこと…」
木崎はそう囁いてまたカウンターに向かっていった。
『誰にも言えないような事』を私には何故か話してくれた
その事が
自分は木崎の近くにいるんだって
感じさせて少しだけうれしかったんだ
木崎の淹れたブラックコーヒーは苦いはずなのに少しだけ、甘く感じた。
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