『久しぶり』
ずっと聞きたかったあの声が私の耳で響いて離れない。
「おーい?大丈夫かよ、おまえ。目ぇ開けたまま寝てるみたいだぞ」木崎は心配そうに私の目の前で手をバタバタと振っている。
「あ…いや少しだけ驚いて…」私は口ごもった。だって全く『少し』じゃないから。

「まぁそうだよな。俺、最近バイト探してたんだよ。したら木村がここ勧めてくれて…」
「ちょっと待って!」私はとっさに遮った。
彼の口から『木村くん』の名があがる事にもだが西高はバイトは厳禁のはずだ。お兄ちゃんがいつも悔しがってたから知ってるの。

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