顔を上げると、髪を触られていた…というより、むしろ引っ張られていた。

「何してんのよ」冷めた目でテーブルの隣に座っている木崎に言うと私の癖のない長い髪の毛先をまじまじと見ていた。
やっと口にした言葉が
「おまえ、こんなに長くて不便じゃねぇの?」だ…。いきなり何だっていうのか。
私の髪は胸下まである。今は一応その長さを保っている。
「別に…」
「でもよ、きっと足まで伸ばしたら座るとき踏んづけて痛い思いするぞ」
「誰が足まで伸ばすのよ!!」…全く発想が尋常じゃない。
「…俺シンデレラしたときキツかったもん」

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