「明日のご帰国では!?」
悠紀が驚いて言う。
「葵があんな電話をしてくるから心配して帰って来た。」
高瀬が言いながら席に着いた。
「つーかオレ、メール送ったはずだけど?見なかった?」
「あぁ。日本に着いてから見た。機内では電源切っていたから。」
高瀬が答える。
「えーと…つまり…電話してすぐ飛行機乗ったと?」
葵が確めるように聞く。
「そうだ。」
キッパリ言った。
(…ぅわぁ…めちゃくちゃ動じてたんすね…)
この時、葵はフランスが遠くて良かった…と心から思った。
なぜって?
近ければソッコー帰国した高瀬に悠紀が見つかるまでの数時間、無言でにらまれ続けることになっただろうからさ。
好きな人のために必死になるのは素敵だけど、それに巻き込まれる自分は素敵じゃない…
葵がこのカップルから学んだことである。
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