葵は梯子を登りきる。悠紀に向かって手を伸ばしながら続ける。
「んで、高が水上家に行けって言うんだよ。探知機あるから居場所がすぐわかるって」
「それで現在に至るぅ〜」
羽衣がまとめた。
「そうでしたか…」
悠紀もたどり着いた。
「おぅ。水上ん家って洋館なんだな。オレ、和風なイメージだったからビックリだぜ。」
「それは葵の家でしょ。ひっろい屋敷じゃないか。」
秋彦が言った。
「えぇ!?羽衣、セキュリティ完璧の高層マンション想像してたのにぃ」
「あー…セキュリティが完璧ってのは合ってるかもな…」
葵が言い澱んだ。
「確かにアレじゃ誰も盗みに入れないね…」
秋彦も遠い目をして言う。
「そんなにスゴいのぉ?羽衣も遊び行っていい?」
「えー…必要に迫られない限りは来ないことをお勧めする…」
葵が言う。
悠紀はハタッと思い出した。
「葵さんの家は忍者屋敷って言われてましたっけ…」
「えぇ!何それ!絶対行くぅ!」
羽衣の好奇心に火がついた。
「みーなーかーみー?」
葵が低音で咎めた。
「…すみません」
悠紀は曖昧に笑った。
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