「…よくここが分ったわね。」
カラン…とカッターを放った。鏡子は今や、屈強な男達に取り囲まれていた。
「水上は一流のお嬢だぜ?誘拐された時用に発信器が付いてんだとよ。」
葵が言った。
「ただぁ、ゆーちゃんがスイッチ入れないとダメらしいんだけどねぇ〜」
上から声がした。羽衣と秋彦が割れた天窓から覗いている。
「いつの間に…」
鏡子は悠紀を横目でにらんだ。
「…起きてすぐに入れました。」
悠紀はパンパンと制服の埃を払いながら立ち上がった。
「悠紀様…いかがなさいますか?」
鏡子を囲む、スーツ姿の男の一人がお伺いをたてた。この者達、水上家のボディーガードである。
「放して差し上げなさい。…私は何の外傷もありませんから。」
誘拐騒動を引き起こしたのに無罪放免とは…異例のこと。ガードマン達がざわめいた。
「しかし悠紀様…」
「放しなさい。」
ガードの言葉を遮って悠紀はキッパリと告げた。
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