「…先輩…高瀬さんが好きなのですか…?だから私の事邪魔って…」
静かな部屋に悠紀の声が響いた。

「…な…何言って…私が藤堂高瀬を好き?馬鹿言わないで!」
鏡子は急いで涙を拭った。

「勘違いにも程があるわ!わ…私は本当にあなたが嫌いなのよ!折角、婚約者になったのに…あなたのせいで…!」

悠紀はその言葉に目を見開いた。

「あの時の婚約者って…先輩でしたか…」
悠紀は呟いた。


高瀬父が勝手に決めただけだったが、高瀬には一時期婚約者がいた。悠紀と付き合っていると正式に発表したためにおじゃんになったが。

シーンとなった。

しばらくたって、鏡子が口を開いた。

「…そうよ…だから私はあなたが嫌いなのよ…あなたが居なければ…会社を大きくさせるチャンスだったのに!」
キッと悠紀をにらみつける。

でも、悠紀はその言葉が本当ではないことを知っていた。


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