高瀬さんは、いつも頼られる側の私が頼る事の出来るたったひとりの人。

私はそれを手に入れたくて、夢中で、周りが見えなくなっていた。


私はただ“ライバル”じゃなくて“水上悠紀”として気持ちを伝えたかっただけ。

でも、そのせいで傷付いた人がいたなら…

私は責められて当然なのかもしれない。


個人的で、身勝手で、不純な理由で下剋上をしてしまった私は…

彼女に責められても何も言えない…。


私はいつだって自分のことばかりで、

人に優しくするときも、心のどこかでは“親切な自分”を認めてほしくて優しくしている…。


私は…汚い。

こんな自分は嫌なのに
…変われない。





真っ暗な闇の中。
微かな光を感じて、悠紀は目開けた。

< 29 >

[1]次へ
[2]戻る

[0]目次

Tag!小説


トホーム