義務教育だった中等部までとは違い、高等部は完全なる実力主義。下剋上を成功させるだけの優秀な人材を解任すれば、学園の教育方針に反する。だから学園長も止めに入らない、などと御託を並べた。

「それに…人間は自分より優れた者に逆らうことはありません。」
キッパリと言った。

「ははっ。水上にしては不遜な言い方だな。」
苦笑された…。

「…謙譲という美徳に欠けていたことは認めます。」

私は唇を噛んだ。説得するのに夢中になって不覚にも高慢な態度になってしまった。

「構わない。自分の能力を理解できている人間は嫌いじゃないからな。」
彼はくっくと笑い続けていた。


“嫌いじゃない”
それだけで少し嬉しいと感じてしまう私は重症かもしれない…。


「水上がそんな言い方になるようじゃ、相当必死なのだろう。…協力するよ。」
彼がフッと笑って言った。

…ああ。やっぱり私はこの人が好きです…。


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