三階まで降り、渡り廊下を走る。教室棟へのドアは閉まっていた。現在5時半。部活で使用することのない教室棟は施錠が始まっている。
ガンッ。
葵は扉を殴った。羽衣はすぐさま踵を返し、一階へ。中庭を土足で横切り昇降口から入る。五階まで一気に駆け昇り、廊下の突き当たり、生徒会室に飛び込んだ。
バンッ。
…誰もいない。あるのは悠紀の鞄と一枚のコピー用紙。
『見つけられるかな?』
これ見よがしに書かれた文字。
「名前も書いてなかったのに信じ込んじゃって…ゆーちゃん一人にしちゃった…何やってるんだろう…っ」
羽衣は額を抑えて苦し気な表情で言う。
「くそっ…あんな簡単な下剋上なんてあるわけねぇよ…っ。始めっから目的は水上だったんだ…っ」
葵は携帯を取り出した。かけるところなんて決まってる。
「…ごめんっ。高…!水上が居なくなった…っ」
絞り出すような声で伝える。
タイムリミットまであと24時。
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