二人が特別棟五階の図書室に着いたとき、葵の姿はなかった。
「あれぇ?どこ行っちゃったんだろぉ?」
羽衣がそう言った時、悲鳴が聞こえた。葵の声だ。
「!?」
明彦が声が聞こえた方向へ走っていく。羽衣も付いていった。
行き着いた先は…
「やだぁ。羽衣入れなぁい」
羽衣が不満そうに言う。
そこは
…男子トイレだった。
「葵!どうしたの!?」
明彦は躊躇うことなく飛び込んだ。
中では…
葵が四つん這いになって打ちひしがれていた…。
「えっと…葵どうしたの?…て言うか、取り敢えず立ちなよ…汚いから…」
明彦がやや引き気味で言った。
が、葵は聞こえてないのか、そのままで呟く。
「…一生の不覚…くそっ…やっぱやめとくべきだった…っ」
葵がこんな状態になっているワケは、ほんの五分前に遡る…。
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