「…おまえも水上もどっか歪んでるよな…」
額を押さえて言う葵。

「ふふっ。女は誰しも裏の顔を持つものなのよ…」

…実に不気味である。

「あーそうですか。オレ、人間不信になりそうだよ…」
葵が呟く。

「やっだぁ!葵のは女不信でしょう?だから今こそ、秋ちゃんと付き合…!」

みょーん…。
再び羽衣の頬が伸びる。

「だーかーらー、そう言う方向に持ってくんじゃねぇよ!BL女!」
葵が怒鳴った。

「だって黒髪長身男子に美少年だよ!?最強設定だよぉ!?すっごく羽衣好みなの!」
羽衣が葵から頬を取り戻すと言い募った。

「おまえの好みなんざ知りたくもねぇよ!」
葵が叫んだ。


いつの間にか走り終えた秋彦が怪訝な顔付きで見ていた。

「あ!助けて“彼氏”っ!」

ゴッ…。

遂に羽衣の頭に葵の鉄拳が振り下ろされた。

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