家庭科室を出る。
「読み方の問題だったのか…」
フゥと息を吐き、廊下を進む。
(「せいぶつ」と「ナマモノ」…やっぱり文系の人間か?)と考えながら、なんともなしに窓の外を見た。
(…あのリボン、見覚えがある…)
「おいっブリッコ!」
葵はガラッと窓を開けて、見下ろした。窓のすぐ下、羽衣が座り込んでいた。
「おまえ何やってんの?暗号解読は?」
窓枠にもたれ掛かって聞く。
「もぅ終わりましたぁ。楽勝だったもぉん。だから秋ちゃんの見学ぅ」
羽衣は校庭の周りに巡らされたジョギングコースを指差した。
「ああ。5周走ったらクリアだっけ。」
「そー。今3周めぇ」
「つーか…いいな、おまえら簡単で。オレのスッゲ、面倒臭いんだけど…」
ハァァと大袈裟なため息を吐く。
「恋人も頑張ってるんだから、ファイトだよ!彼氏さん♪」
羽衣がブリッコ発言のお返しとばかりにニッコリ笑って言った。
「…誰が恋人だって?腐女子さーん?」
葵は羽衣のほっぺを引っ張った。
「ふぃまふぇんでふぃたぁ〜」
羽衣は謝った。
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