Game ―葵―
『加賀葵様
指令に従って宝探しをして頂きます。全てクリア出来たらあなたの勝ち…では、第一の指令を。
“生物を探せ”』
放課後、葵は詳細を記した紙を手に歩き回っていた。
「とりあえず生物室か」
葵は特別棟二階へ向かった。
が、鍵が掛かっている。
「違うのか?…生物なんて他にどこにいるよ」
頭を掻きつつ一階へ下りる。
『やだーちゃんと冷蔵庫入れといてよー』
家庭科室から声がした。
(調理部の活動日か…)
葵は通り過ぎようとした。すると…
『ナマモノなんだから腐っちゃうでしょー』
(ナマモノ?…生物!)
バンッ!
葵は勢い良く戸を開けた。
「葵様!?」
驚く部員に構わず聞く。
「…生物ってどれだ?」
「え…これです…」
先程の声の主が摘んでいるビニール袋を見せた。
サンマだった。
「貸して。」
葵は縛ってあった袋の口を開く。マジックで書かれた文字があった。
“異世界への入口を探せ”
(…また意味不明な指令だし…)
生臭ささの中、葵はため息をついた。
< 13 >
[1]次へ
[2]戻る
[0]目次
Tag!小説
トホーム