「……っ、先生っ!」
担任は振り向いた。
「おお!ミッキー、卒業おめでとーな。」
担任は笑って言った。
私は話好きな担任のペースに巻き込まれないうちに言ってしまうことにした。
手をぐっと握り締めて、一番伝えたかった言葉を…。
「…っ!ありがとねっ“涼センセ”。」
本当はもっとちゃんと言いたいのに、うまく言えないから、たった一つの言葉に思いを込めて…
「ありがとう。」
私はもう一度繰り返して言った。
担任は驚いた顔をしていた。その顔が面白くて、してやったりって気分になって、思わず笑ってしまった。
そしたら…
「やっと見れたな、笑い顔。」
って言ってフッと微笑んだ。
それはそれは優しい笑顔で…。
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